宇宙、過失、許す

映画を観るという英断、キャラを責めるという愚行。


科学者 無能

はい、ギリィです、と。

それはもうずっと初手に名乗っていたけれど、最近改めて自分のコラム画面をまじまじと眺めて自足していたら、投稿者が誰なのかがこれまでも自動で表示されていたことに気づいた。

これはつまり誰が見ても明らかな事を今まで声高らかに宣言していたということで、これって何かに似ている。そうだ、フルネーム名乗っている最中にモンゴル軍に蜂の巣にされて昇天してた鎌倉武士だ。

今が令和でよかった、よかったなぁ。

検索結果のノイズだと思っていた『ライフ』

少し前、縁があって『ライフ』(宇宙の方)という映画を観た。もともと自分は『LIFE!/ライフ』(人間ドラマの方)という映画が大層好きで、このサイトの自己紹介欄にもそのBlu-rayの購入ページが無造作に貼ってあるくらい好きだ。

観終わった後、好きだと感じた映画はどうしても検索エンジンで調べてみたくなるもの。それで自分は『LIFE!/ライフ』のことをよく調べていたのだが、検索するたびにどこかで『ライフ』が出てくる。

最初は「なんかいるな」程度の認識だったのだが、次第に「邪魔だな」「むかつくな」「訴えたら勝てないかな」といら立ちが顕在化していった。

ついに『LIFE!/ライフ』を見ている間も宇宙服の中に格納されたジェイクジレンホールがこっちを見てくるようになったため、最終的に「じゃあいっそ『ライフ』も見ちゃえば検索結果のノイズと感じることもなくなるな」と逆転の発想を行い、視聴に踏み切った。

「観る」「調べる」という英断

これははっきり言って英断だったと思う。なぜならとても面白かったからだ。今こうして佐島君にもPodcastを通して薦められた。よかった、よかったなぁ。

それで視聴後、自分は例によって検索エンジンで『ライフ』についていろいろなことを調べていた。

真っ先に打ち込んだのは「ライフ 科学者 無能」という単語群。

面白さの確認よりも、解釈よりも、制作者の思いよりも、まずは宇宙ステーションが崩壊した原因とその後も結果的に元凶をサポートし続けたあの科学者に対する憤りを何とかしたかった。

ネット上で「やつが悪いよねw」「ねー」などと話している輪に自分も入って行って「わかるーwww」ってやりたかった。そうすれば溜飲も下がる気がしたからだ。もしかして今って「w」使わないんですか?

結果的にこれは英断だった。

捕獲した宇宙生物を人為的ミスで生命の危機に追い込み、「感電させれば起きるかな(サイコ)」と言いつつ電圧をかけた彼に対する批判の声はそれなりにあり、「やっぱゥチの怒り間違ってないよね!?」と確実に溜飲が下がった。

考えてもみてほしい。何かのミスで誤ってあやまって液体窒素で満たされた学校のプールを。それに気づかず体育教師が児童をいつも通り飛び込ませたら児童が凍結、氷柱と化した児童をこれはいかんとプールサイドに引き上げ、「バーナーで炙れば生き返るカナッッ」と言い放つ体育教師を。自分が鎌倉武士だったら切り捨てている。

ともかくネットで調べた自分はすがすがしい気持ちになった。

やはりあの科学者はぽんこつだったのだ。よかった、よかったなぁ。

「ポンコツを責める」という愚行

それで、この映画を観たことがある人、あるいは自分の薦めでこの映画を観てくれた人に会うと必ず「あの科学者はだらしねぇ」と言うようにしていた。

自信満々だった。ゥチ間違ってないもん。ネットのみんなも言ってたもん。心にギャルを飼っている。

これがよくなかった。

結論から言うとみんなまあまあ科学者に優しかった。「あの状況じゃ仕方ないよ」「最初のミスは悪いかもだけどさ、でも人のやることだし」「そもそも、最初のサンプル回収シーンの時点で想定外起きてたじゃん。だからミスも含めて想定外はつきものなんだよ」みたいな。

聖人か? 君たちは?

ネットと相反する暖かな人の心の光を思いがけず照射された自分は懊悩。もしかして自分心が狭いのでは……もぅマヂ無理。。。出家しょ。。。

そうなれば善は急げ、出家に備えて高野豆腐を用いたレシピを早速確認していると重大なことに気づいた。科学者が無能であるという前提のもと検索ワードを入れたのだ。自分を補強する意見ばかり出てくるに決まっている。

そうして人は自分に好意的な意見ばかりを取り入れ自足して成長しなくなる。

具体的には宇宙空間でミスをした人を無能よばわりして、許さなくなる。

はい、これをエコーチェンバー現象と言います。ここテストに出るからな~。

『ライフ』の紹介回をPodcastで聴く

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